忘年会の誘いが増えるたびに、ぼくは予定表よりもまず、財布の中身を確認してしまう。
1回5000円の会費。
往復の交通費。
何も食べずに行くときは、軽食代。
服だって、去年と同じでいいか迷う。
「行きたくないわけじゃない。けど、行けばお金が飛ぶ」
そんなふうに、行きたい気持ちと現実の財布の中身がぶつかる12月。
この時期は、ただのイベントラッシュじゃない。
お金にまつわる人間関係が一気に押し寄せてくる、財布と心の負担レースでもあります。
この記事では、年末にかさむ飲み会コストを整理しながら、参加頻度の見直し・会費の交渉・断り方のテンプレ・代替案の出し方など、行く・行かないの両方に対応できる方法をお届けします。
年末を「金欠のまま乗り切る月」にしないために。
ちゃんと行きたい会にだけ行ける自分になるヒントを、ひとつずつ整えていきましょう。
目次
なぜ年末は「お金が飛ぶ」のか?支出の見える化
12月になると、なぜこんなにもお金が消えていくのでしょうか。
一つひとつは「まあ、いいか」と思える出費でも、積み重なると月末の通帳が想像以上に軽くなっている。それが年末というシーズンの罠です。
ここではまず、目に見えない支出を言語化し、構造として捉えることで、「本当に行く価値のある場」に選択を絞る準備をしていきましょう。
交通費/会費/プレゼント/服代まで積み上げると…
飲み会にかかるお金は「会費だけ」じゃありません。
🍶忘年会1回の出費内訳(例)
| 項目 | 内容 | 金額(概算) |
|---|---|---|
| 会費 | コース or 割り勘 | 5000円 |
| 交通費 | 往復電車 or バス | 800円 |
| 服・身だしなみ | ヘアセット・新調アイテム | 2000〜4000円 |
| 持ち寄り系 | 差し入れ・飲み物・お菓子 | 1000〜2000円 |
| 合計 | – | 8800〜11800円 |
たった1回で1万円弱。
これが「楽しかったけど、ちょっと後悔してる」という年末の正体かもしれません。
しかも、これが2回、3回…と続くと、
- 「財布がすり減っていく感じ」
- 「明細を見るたびに罪悪感」
- 「予定は楽しいのに、どこか疲れる」
そんな状態に陥っていくのです。
ボーナス前提の年末マウント文化
忘年会がなぜ高額化しやすいのか。
その裏には、日本特有のボーナス前提文化と、見栄やマウントが加速しやすい時期であることが関係しています。
年末特有の出費インフレ現象
- 「この店、ちょっといいとこにしようか?」(毎年恒例のアップグレード)
- 「サプライズギフト用意したよ」(ギフト圧が静かに飛んでくる)
- 「みんなボーナス出たし、これくらい平気でしょ?」(金銭感覚の差)
これらの発言は、直接的な圧力ではないけれど、空気として断りにくい雰囲気を生み出す要素です。
特に、副業中や非正規、ボーナスがない働き方をしている人にとっては、
「自分が異物になったような感覚」に襲われることさえあります。
年末支出チェックリスト
以下は、年末によくある出費を回数と単価で見積もった例です。
すべて「参加しないと失礼では?」と思いやすいものばかりですが、全体を見渡すことで、どこかで立ち止まる基準が見えてきます。
| 項目 | 回数 | 単価 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 忘年会会費 | 3回 | ¥5000 | ¥15000 |
| 交通費 | 5回 | ¥800 | ¥4000 |
| ギフト | 2個 | ¥6000 | ¥12000 |
| 飲み物・つまみ持参 | 3回 | ¥2000 | ¥6000 |
| 合計 | – | – | ¥37000 |
→ これが「想像以上に貯金が減ってた…」という年末の現実。
でもこれは、我慢して全てを断るべき、という話ではありません。
次章では、行かないという選択を取る前に、できる工夫と交渉の余地を整理していきます。
「行かない」選択の前にできること
「行けば楽しい。でもお金が痛い」
「断れたら楽。でも空気が怖い」
忘年会をめぐる悩みは、YES/NOの2択では片づけられない感情の間に揺れる構造を持っています。
ここでは、「行く」も「断る」もまだ選びたくない人へ向けて、その間を整える選択肢を整理していきます。
参加費を抑える立ち回り方(一次会のみ/シェア会など)
お金の負担を減らす第一歩は、「全部に付き合わない」ことへの自分の許可です。
一言でいえば、浅く・短く・安く付き合うという発想への切り替え。
参加費を抑えるテクニック例
| 方法 | 内容 | 金額感 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 一次会のみ参加 | メインのみで退出 | ¥4000〜5000 | 「明日早くて」で自然離脱 |
| 2人1組で参加表明 | 相方と退出タイミング共有 | – | 一人で抜けづらい心理を緩和 |
| 割り勘前に個別支払い申告 | 「食べてないから少しだけで」 | -¥1000〜2000 | 控えめに申し出ると通りやすい |
| お店選定の提案 | 予算5000円以下の店に誘導 | – | 幹事側にまわると調整しやすい |
「お金が厳しい」と言えない人のための空気の読み方
とはいえ、「金欠なんで…」とは言いにくい場面も多いもの。
そんなときは、お金の話をせずに断る or 抑える空気の読み方と応答例を知っておくと、身を守れます。
応答テンプレ(やんわり/ポジティブ断り)
- 「その日は予定が詰まっていて、一次会だけ顔出せたら…!」
- 「最近体調崩しがちなので、ほどほどに付き合いたくて」
- 「年末ちょっと静かに過ごしたくて。参加できるタイミングだけ合流します!」
重要なのは、行かないと真っ向から言うのではなく、できる範囲で関わるという形で空気を壊さないこと。
参加のYES/NOのグラデーション表現
| 表現 | 意味 | 温度感 |
|---|---|---|
| 顔だけ出すね | 開始だけOK | ◯(軽参加) |
| 一次会だけ行く | メインだけOK | ◎ |
| 合流するかも | 状況見て判断 | △ |
| 今回は難しそう | 基本は不参加 | ×(ソフト断り) |
「行く or 行かない」ではなく「どう関わるか」という選択を持つことで、
心の負担も、出費の負担もずっと軽くなります。
次章では、「会費が高すぎる」「ちょっと納得いかない」
そんなときにできる行動と、その前に整えておくべきポイントを紹介します。
会費が高すぎると感じたら
忘年会の会費、気づけば1回で5000円〜7000円。
でも、「高くない?」と声に出せる場面は、なかなかありません。
むしろ、「え、これでこの金額…?」と心の中だけで引っかかったまま、笑って支払ってしまう人も多いのではないでしょうか。
ここでは、会費に納得できないときにどう立ち回るかを整理します。
「幹事に相談」の前にできる準備
不満を伝えるのは勇気がいります。
特に、幹事が知人・同僚・上司であればあるほど、空気を壊したくなくて黙ってしまいがちです。
そんなときは、感情ではなく数値の共有に切り替えると、角が立ちにくくなります。
相談前に確認しておくべきこと
- 店のコース料金と内容の整合性(食事3品+飲み放題で6000円…?)
- 自分がどれだけ飲み食いするかの目安(元を取れるか?)
- クーポン・割引有無のチェック(幹事が適用しているか?)
伝え方テンプレ(やんわり&中立)
- 「ちょっと予算オーバー気味で…もう少し控えめなコースも検討できたら嬉しいです」
- 「そのお店いいですね!でも少し高めなので、もし他にも候補あったら相談できますか?」
「高いから行かない」ではなく、調整を相談する姿勢で臨むことで、むしろ参加意欲が伝わりやすくなります。
割り勘トラブルを避ける術
特に多人数での忘年会では、割り勘がカオスになりがちです。
「飲まない人も払わされる」「来てすぐ帰ったのにフルで取られた」
そんな不公平感を避けるためには、事前の線引きとポジション取りが重要です。
割り勘トラブルを防ぐための準備術
| 対策 | 解説 |
|---|---|
| 飲まないことを事前に伝える | 「今日は控えめなので…」と一言あると調整されやすい |
| 支払の前に「◯円なら出せます」宣言 | 上限を伝えることで自分だけ高額化を防ぐ |
| 早退する場合は前もって共有 | 「途中で出るので一部だけ出します」と明言 |
| 会費制なら「一律ではない」選択肢を提案 | ソフトドリンク参加者割などを導入する案を出す |
お金のことを言える人が得をするのではなく、
言えない人が損をする構造が、忘年会の隠れた落とし穴です。
だからこそ、自分がどう過ごしたいかに応じて、会費や支払いの枠組みにも関わる姿勢が大切になります。
次章では、実際に年末の出費に悩んだ人たちのリアルな体験談を紹介します。
「無理して行った」「断ってみた」その選択がどう人生に影響したのか。
ヒントがきっと見えてくるはずです。
実録・みんなの「年末お金ピンチ」体験談
誰かと比べて情けないと思ったり、
「また今年も我慢か…」とため息をついたり。
年末の飲み会がもたらすお金のストレスは、
決してあなただけのものではありません。
ここでは、実際に年末の出費で悩みながらも、それぞれの方法で乗り切った人たちの体験談を3つご紹介します。
Case1:「全部参加して、口座がマイナス寸前に」(副業スタートのきっかけ)
🧍♀️26歳 女性・営業アシスタント(非正規)
去年の12月、会社・友人・地元と全部の忘年会に参加して、交通費やプレゼントも含めると合計で4万円近く消えました。
気づけば口座残高が1万を切ってて、クレカの引き落とし日が怖くて仕方なかったです。それで思い切って、1月から副業(文字起こし)を始めました。
今は月に2万円くらい副収入があって、「行きたい場所に安心して行ける」感覚が戻ってきたのがすごく大きかったです。
Case2:「行かない選択をしたら、人間関係が変わった」
🧍♂️31歳 男性・フリーランス
昔の仲間との忘年会、会費7000円+プレゼント強制で悩んでました。
「今年は自分のことを優先したい」とLINEで断ったら、3人から「実は自分もそう思ってた」とメッセージが来て。あのとき言葉にしてよかったなって思います。
「参加する=仲良し」じゃない関係があってもいいって知れたのが、年末最大の収穫でした。
Case3:「全部断った年、初めて年始に風邪をひかなかった」
🧍♀️29歳 女性・事務職/体調を崩しやすいタイプ
今まで忘年会で体を壊すのが毎年恒例でした。
だけど去年は、思いきってすべて断って、家で静かに過ごしてみました。そしたら、年始をすごくクリアな状態で迎えられて、自分の中で「人間関係=参加数」って思い込んでたことに気づきました。
勇気を出して断って、本当によかったです。
こうしてみると、「参加してもいい」「断ってもいい」
どちらにも納得感を持って選んだ人には、必ず何かが返ってくることがわかります。
次章では、その上で、「忘年会という文化」とどう距離を取るか。
お金と人間関係、そのバランスの自分軸を見つめ直すヒントをお届けします。
年末こそお金との距離感を見直す
年末は、財布の中身だけでなく、「自分とお金の関係性」があらわになる季節でもあります。
- 誘いを断れないのは、誰かの評価が気になるからかもしれない
- 高い会費にモヤモヤするのは、自分が本当は無理してるからかもしれない
- 出費を重ねてしまうのは、「寂しさ」や「外されたくない気持ち」があるからかもしれない
お金の使い方には、感情が出ます。
だからこそ、「節約=我慢」ではなく、本当に行きたい場所・人・時間を選ぶ視点が必要です。
節約だけでなく、心地よい断り方・選択の仕方を考える
忘年会シーズンに必要なのは、節約術よりもむしろ
「自分の価値基準を持つこと」です。
断る理由を自分の言葉で持つ例
- 「年末は、自分と静かに過ごしたい」
- 「体調を優先したいから、夜は控えたい」
- 「大切にしたい人との時間に集中したい」
お金を浮かせるだけじゃなく、その分の時間・体力・気力を誰のために使いたいかを考えること。
それが、心地よいお金の使い方=距離感を見直すということなのです。
まとめ。年末の出費判断に使えるセルフ質問リスト
| 質問 | 回答のヒント |
|---|---|
| これは本当に会いたい人との時間? | YESならGO、NOなら再検討 |
| この会費、後で後悔しない? | 金額に対して満足感があるか |
| 自分の時間・体力・予定と天秤にかけて納得できる? | バランスで判断する癖をつける |
| 誘われたことに、どう応えたい? | 参加 or 断る以外の形もある |
年末は、お金の流れが「外に向かう」時期です。
でも、そのぶん、自分の内側を整える境界線を持っている人ほど、来年を心地よく始められる。
行かないのではなく、選ぶ。
断るのではなく、決める。
自分とお金と人間関係のバランスを、自分の手で整えていい季節なんです。
